LDACとaptX HD、今から選ぶならどっち?

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スマートフォンの音楽をワイヤレスヘッドフォンで楽しみたいと思ってる人!私もその一人なんですが、これからワイヤレスヘッドフォンを選ぶ際にちょっと気にしておきたいBluetoothのコーデック「LDAC」と「aptX HD」についてまとめてみました。

「LDAC」と「aptX HD」

スマートフォンやオーディオプレイヤーからワイヤレスヘッドフォンには、Bluetoothを使って無線で音楽データを飛ばしますが、有線に比べて一度に伝送できるデータの量が少ないため、データを圧縮して送ります。このデータ圧縮の仕組みのことをコーデックといい、Bluetoothのコーデックにはいくつかの種類があります。

その中でも最近話題のコーデックが「LDAC」と「aptX HD」です。

種類特徴情報量
SBCBluetooth機器は必ず対応している。16bit/48kHz
328kbps
AACiPhoneを中心に普及。
SBCより高音質。 
16bit/48kHz
n/a
aptXAndroidスマートフォンの一部で採用。
SBCより高音質で低遅延。 
16bit/48kHz
384kbps
aptX HDAndroidスマートフォンの一部で採用。
aptXと同様に低遅延だがより高音質。
24bit/48kHz
576kbps
LDACXperiaシリーズで採用。
AACやaptXより高音質。 
24bit/96kHz
990kbps 

LDACとaptX HDに共通する特徴

LDACとaptX HDはどちらも「ハイレゾ」相当の音質を保ったままデータを伝送する点です。

従来の方式では、ハイレゾ音源であっても伝送時に一旦CD並みの音質に落としてから、さらにそれを圧縮して伝送していたため、伝送後の音質はCD音質を超えることはありませんでした。

一方、LDACとaptX HDはハイレゾ音源をハイレゾのまま圧縮して伝送するため、伝送後もハイレゾ相当の音質を維持することができます。(一度圧縮するという点で、厳密に元のハイレゾ音源と全く同じ音質という訳にはいかないので、ハイレゾ「相当」という表現をしています。)

また、LDACとaptX HDはともに、データ圧縮時に人の耳には聞こえない音域をバッサリ切ってしまうといった、聴覚心理モデルを使っていないという点です。

人の耳に聞こえないなら要らないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、それらの音域は音の微妙な雰囲気として感じ取ることができ、それが高音質かそうでないかの差となって表れます。LDACとaptX HDは人の耳に聞こえない音も残すことで、高音質を維持しています。

LDACとaptX HDとの違い

では、LDACとaptX HDの違いは何なのでしょうか?

ひとつはサンプリングレートの違いです。一般的にサンプリングレートは高いほうが高音質と言われており、CDのサンプリングレートは44.1kHzです。そしてLDACは96kHz、aptX HDは48kHzです。

どちらもCDの音質を超える「ハイレゾ」であることには変わりはないですが、より高音質で伝送できるのはLDACのほうです。

もし、サンプリングレートが96kHzのデータをaptX HDで伝送する場合は、48kHzに音質を下げてから伝送することになります。

ふたつ目の違いは、データ圧縮時の最適化の方法です。

LDACは楽曲に対して動的に最適化を行います。つまり、楽曲を解析しながらどの音域をどれだけ圧縮するかを判断します。

一方、aptX HDは音域を低音・中低音・中高音・高音の4つに分け、どんな楽曲でも音域ごとに一定のルールに従って最適化します。

両者の最適化方法を比べた場合、音質はLDACのほうが良くなりますが、同時に、最適化時により負荷が掛かるのもLDACです。また、一定のルールで最適化するaptX HDは最適化に掛かる時間が短くて済むため、伝送遅延が少なくなります。

どっちがいいの?

LDACはより高音質、aptX HDは低負荷・低遅延、どちらも良いコーデックです。

もし、現時点でどちらかのコーデックに対応するスマートフォン・オーディオプレイヤーをお持ちなら、迷わず対応のワイヤレスヘッドフォンを買いましょう。現時点であえてプレイヤーごと乗り換えるほどのコストをかけるメリットは少ないと思います。例えば今、Xperiaのスマートフォンを使っているなら、ワイヤレスヘッドフォンはLDAC対応のものが良いです。

これから、プレイヤーもヘッドフォンも対応製品を購入したいという場合、どちらが将来性があるかという点が気になるところですが、現時点ではまだ分かりません。どちらのコーデックもまだ普及は道半ばといったところです。

LDACはソニーが提唱しているコーデックであり、自社製品だけでなく、今後、他社製品への普及を目指しているところです。

一方、aptX HDはAndroidスマートフォンのCPU「Snapdragon」でおなじみのQualcomm社が技術を持っていることから、Snapdragon採用のスマートフォンで今後対応機種が増えていく可能性があります。

また、LDACもaptX HDも、次期「Android O」がOSとして標準で両コーデックに対応する可能性があるとのことです。両方に対応する機器が今後登場するといいんですけどね。

LDACとaptX HDに関する最新記事はこちらにもあります。